制作ノート

  1年前シュリッペンバッハトリオでお世話になった横井さんの紹介で、イギリスからメールが届いた。ロジャーさんが,静岡で演奏したいという。相手は悠治さん。2つ返事でコンサートをお願いした。悠治さんのアドレスにclinamenという綴りがあったので調べると、水槽の中にたくさんの陶器を浮かべ、それらがぶつかり合うことで音が発生する作品にclinamenとあった。以前、美術家・河口龍夫の『ラベンダーのプール』という作品を観たことを思い出し、コンサートのタイトルを、
『たちあがる音楽』とした。  前日、静岡入りしたロジャーさんご夫妻が、富士山を観たいという事で、妻の運転で三保の松原に向かう。12月にしては暖かい冬空に、雲ひとつない富士山が夕日に染まりくっきりと見ることができた。当日、みんなで悠治さんを静岡駅に出迎え青嶋ホールに。そして、演奏が始まった。このCDはその記録である。                        
                                
(井上 茂)