制作ノート
井上 茂
きっかけは二年前の高瀬アキ×多和田葉子
"散文オペラ" のコンサートのときである.青嶋ホールの控室にあったピアノを見て,「2台ピアノのコンサートができるね」とアキさんが言った.相手役が榛名さんなら,きっと凄いだろうなと思い続けていた.3ヶ月後,突然評論家の副島さんからTELがあり「高瀬さんが三宅さんとDUOをしたい!」という.アキさんにメールしようと思っていた晩である.
秋晴れのコンサート当日,女房と出迎えに行くと,二人がなごやかに雑談をしながらホームから降りてきた.ホールへ着いて,二日間かけて入念に調律したピアノに対面
.ピアノの位置を決めると,響きを確認しながら音だしを始める.夕刻7:00演奏会がスタートする.
泄狽ヘ都市をテーマに即興が繰り広げられる.
『上海』,センシィティブ.
休憩後,簡単な打ち合わせをして,部が始まる.予想通り凄い演奏である.
『クララに捧ぐ』,感動的.
ホール全体が音楽に包み込まれる感じだ.デュオならではの面白み,即興の醍醐味である.
演奏終了後,ホールを埋めたお客さんもみな興奮気味である.僕は控え室に向かい,今晩の演奏をCDにしたいと二人に告げた.