2台ピアノのデュオの面
白さは、同じ音域、同じ音色を持つ楽器同士がぶつかり合う面白さで、子供時代の私にとってはワクワクする組合わせだった。2つの楽器の共鳴板が偶然に不思議な音を響かせる思いがけない瞬間や、演奏している自分が音に包まれる高揚感も好みだったのかも知れない。それ以後も相変わらずデュオピアノが好きで、ニューヨークの学校に入って最初に書いた作品は<2台のピアノのためのコンチェルティーナ>だった。仕事を始めてからも2台ピアノの曲を折りにふれ書いていた。デュオを組んで演奏していた時期も何度かある。中には双方あまりにも気が合わないので、<トゲトゲ・デュオ>と呼ばれた組合わせもあった。ともあれ長い間、何人ものピアニストと一緒に演奏をし、他人のデュオ作品、自分のデュオ作品、そしてデュオ即興演奏まで、さまざまなタイプのピアノデュオを弾き続けてきたのだ。
そんなある日、突然に私は就職し作曲の教師になった。就職先の学校で、<即興演奏ワークショップ>をやろう、講師には高瀬アキさん!と思い立ち、アキさんに初めて会うことになった。ワークショップのアキさんは凄くステキで、即興演奏に憧れる学生がその後、続出した。その日、私とアキさんは学生のためのデモンストレーションとして即興デュオで数曲弾き、それが何だか妙にしっくり楽しかった。
それからしばらくして、2人のデュオ・ライヴをやりませんかとオファーされたときは、だから、素直にうれしかった。このCDがその成果
だ。
三 宅 榛 名